【行政書士が解説】相続の基礎知識 – 全体の概要

行政書士の西森です。今回は多くの方が直面する可能性のある「相続」について、その概要をわかりやすく解説していきます。

相続とは何か?

相続とは、人が亡くなった際に、その方の財産や権利義務を法定相続人に引き継ぐ制度です。被相続人(亡くなった方)の遺産を、相続人(法律で定められた権利のある人)が受け継ぐプロセスを指します。

相続の開始

相続は被相続人の死亡と同時に開始されます。この時点から、法定相続人に権利が発生します。

法定相続人とは

法定相続人は以下の順序で定められています

①配偶者(厳密には順位という概念はないですが、イメージしやすいように1番と順位付けしました)
②子
③父母
④兄弟姉妹

配偶者は常に相続権を持ちますが、それ以外の相続人は上位の者がいる場合、相続権がありません。

遺産分割の方法

遺産分割には主に以下の3つの方法があります

  • 遺言による分割
  • 相続人同士の話し合いによる分割(遺産分割協議)
  • 家庭裁判所による分割(調停・審判)

相続税について

相続税は、相続した財産の価額が基礎控除額を超える場合に課税されます。基礎控除額は以下の通りです

3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

相続手続きの流れ


① 死亡届の提出(亡くなってから14日以内)
最寄りの市区町村役場に提出します。
死亡診断書または死体検案書が必要です。

② 遺言書の有無の確認
自宅、銀行の貸金庫、法務局など、考えられる保管場所を確認します。
法務局で自筆証書遺言の有無を確認することもできます。

③ 相続人の確定
戸籍謄本等を取得し、法定相続人を特定します。
必要に応じて、相続放棄や限定承認の手続きを検討します。

④ 相続財産の調査・評価
不動産、預貯金、有価証券、債務など、被相続人の財産を把握します。
不動産鑑定士や税理士などの専門家に評価を依頼することもあります。

⑤ 遺言書の検認または遺産分割協議書の作成
遺言がある場合:遺言の検認手続き
遺言がない場合:相続人間で話し合いを行い、遺産分割協議書を作成します。

⑥ 相続税の申告・納付(相続開始から10ヶ月以内、必要な場合)
相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合に必要です。
税理士に依頼することをおすすめします。

⑦ 各種名義変更手続き
不動産、預貯金、株式、車両など、相続した財産の名義を変更します。
各機関(銀行、証券会社、陸運局など)で手続きを行います。

⑧ 相続登記(相続による所有権移転の登記、原則として相続開始から3年以内)
不動産を相続した場合、法務局で相続登記を行います。
登記申請書、戸籍謄本、遺産分割協議書などの書類が必要です。

この流れは一般的なものですが、個々の状況によって変わる可能性があります。また、各手続きには期限があるものもあるため、注意が必要です。相続手続きは複雑で時間がかかることが多いため、不明な点がある場合や複雑な案件の場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

専門家のサポートを受けることで、法的な問題を回避し、円滑に相続手続きを進めることができます。また、相続税の申告が必要な場合は、税理士に依頼することで、適切な申告と節税対策を行うことができます。

相続は複雑な法律問題を含むため、行政書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。適切なアドバイスを受けることで、スムーズな相続手続きが可能になります。

まとめ

相続は避けられない問題ですが、事前に知識を得ておくことで、いざという時の不安を軽減できます。ご不明な点がありましたら、お気軽に専門家にご相談ください。

この記事が相続に関する基本的な理解の助けになれば幸いです。より詳しい情報や個別のケースについては、お近くの行政書士事務所にお問い合わせください。

次回からは、各項目についてもう少し詳細にお伝えしていこうと思います。

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