【行政書士が解説】遺言執行に必要な手続きの流れ

行政書士の西森です。遺言執行とは、遺言に記載された内容を確実に実行するためのプロセスです。遺言執行者は、遺言に指定されるか、家庭裁判所によって選任され、相続人や関係者の権利を守る重要な役割を担います。ここでは、遺言執行の手順を説明します。個別の内容によって、後の手続きが大きくことなりますので全てを書くことはできませんが、概要と一例を記載してみます。


1. 遺言書の確認と検認手続き

遺言書が自筆証書遺言である場合、まず家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。これは、相続人に遺言の存在を通知し、内容の改ざんがないかを確認するための手続きです。なお、公正証書遺言の場合はこの手続きは不要です。

手順

  • 遺言書と相続人の戸籍謄本を揃え、家庭裁判所に提出します。
  • 裁判所から検認日が指定され、出席が求められる場合もあります。
  • 検認が終了すると、証明書が発行されます。これが遺言執行に必要な証明書の一つです。

2. 遺言執行者の選任とそのメリット

遺言に基づき、スムーズかつ公正に財産分配を進めるために、遺言執行者を選任することのメリットは大きいです。遺言執行者がいることで、相続人間でのトラブルを最小限に抑え、遺言内容の確実な実行をサポートします。また、遺言執行者が財産の管理や名義変更、債務の清算などの手続きを一任できるため、相続人の負担を軽減できる点も大きな利点です。


3. 遺言執行に必要な書類の収集

相続財産を特定し、相続手続きを進めるために以下の書類が必要です。

  • 相続人の戸籍謄本:家族構成や相続関係を明らかにするために必要です。
  • 故人の戸籍謄本(出生から死亡まで):相続人を確認するために収集します。
  • 不動産登記簿謄本:不動産がある場合には、所在地と所有権を確認するために必要です。
  • 金融機関の残高証明書:故人の預貯金額を証明するための書類です。

4. 相続財産の管理と分配

遺言執行者は相続財産を管理し、遺言に基づき相続人や受遺者に財産を分配します。実際の手続きは、財産の種類により異なりますが、以下のような流れです。

  • 預貯金の解約・分配:金融機関に遺言書や相続人の身分証明書を提出し、口座を解約して分配します。
  • 不動産の名義変更:遺言に基づき不動産の所有権を移転します。法務局で登記申請を行い、相続人の名義に変更します。

5. 遺言執行報告書の作成と提出

遺言執行者は、執行が完了したら、執行状況を記録した遺言執行報告書を作成し、相続人に報告します。この報告書には、遺言の内容をどのように実行したか、どの財産をどのように分配したかを詳細に記載することで、透明性を確保します。


遺言執行における注意点

  • 税務上の手続き:相続税の申告が必要な場合もありますので、税理士と連携して対応することが望ましいです。
  • 遺留分への配慮:遺留分を侵害する遺言内容の場合、遺留分権利者から異議が出されることもあります。

最後に

遺言執行は多くの書類と手続きを要し、専門知識が必要です。行政書士等の専門家に依頼することで、遺言書の確認や相続人調査、財産の特定といった手続き全般をスムーズに進めます。また、第三者が遺言執行者として関与することで、相続人同士の負担やトラブルも抑えられるため、安心してお任せいただけます。
ぜひお気軽にご相談ください。

遺言書の作成や相続に関するご相談はまさき行政書士事務所へお任せください。